【感想】『スペシャル』平方イコルスン
異常に怪力な女子高生を筆頭に、金持、ガソリンを好むメガネ、豆を食して精神を落ち着かせる男、豆を食して精神を落ち着かせる男の首をつねる事で精神を落ち着かせる女……。個性豊かな登場人物が繰り広げる日常を描いた作品。
個性的な面々が繰り広げる日常なので、それはもう「変」である。「変」であるのだが…、変な人間による破茶滅茶ドタバタ劇というわけでは無い。何というか、絶妙なバランスの「変」なのだ。登場人物の突飛な行動に依拠したギャグではなく、独特な言い回しによる笑い。線の太さ・黒塗り部分の多さも手伝って、独特な、ともすれば落ち着いた作品世界が展開されている。
基本はギャグで、シリアス成分は少なめなのだが、異常に怪力な女子高生が国の庇護下にあり、夏休みには検査入院する…など、若干不穏というかブラックというか、そういう側面もある。
とはいえ、基本線はやはりギャグ。ハイテンションではなく、言い回し・会話劇でクスリとした笑いを得られる、良作である。