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あの青い作業着を脱ぎ捨てて。

アニメ・漫画・小説・ゲーム等のフィクション作品の感想をゆるく綴ります。

GWにだらだら語りたい作品3選【美少女ゲーム編】

第五弾にしてラストを飾るのは、美少女ゲーム。なんだかんだで1番触れている媒体な気がする。

 
(1)『CROSS†CHANNEL

 

CROSSCHANNEL ~For all people~ (通常版)

CROSSCHANNEL ~For all people~ (通常版)

 

 メンヘラの延長線上にいるような少年少女8人が、人が消えた上に1週間でループする世界に放りこまれ、共に生きたり殺しあったりするお話。

ただ、この世界観を前面に出して、知恵を絞ってループする世界からの脱却を目指す…という、世界構造の謎解き明かすぜ的ストーリーの筋ありきの作品ではない。
精神を患い、社会から弾かれ、隔離された少年少女たちが、それでも懸命に人間性を、健全さを獲得しようとする人間ドラマである。ストーリーよりテーマ・メッセージ性を押し出している。
 
メンヘラの延長線上と一口に言っても、キャラの壊れ方は様々である。ルール絶対遵守の現実逃避のメガネ先輩、他者依存半端ない同輩、自己愛強すぎ後輩、悪意に弱すぎ潔癖後輩、そしてスイッチ入ると理性飛ばして人を襲う狂人の主人公・太一。
 
この太一、ものっそい好き嫌いが分かれるキャラクターだろうが、個人的にはベストオブ主人公である。
 
自らが最も狂人に近いことを自覚しながら、それを抑え込もうとしつつ8人全員のハッピーエンドを目指して奔走する姿。自らが1人だけループ世界に残り、他のメンバーを元の世界に送還する決断。1人きりになって、ようやく人間性を獲得する切なさ。世界の交差を願って、ラジオ放送を続ける他者への渇望。その全てが胸を打つ。
 
「他者/自己」「個人/集団」というテーマを、正面から描いた傑作である。
 
(2)『ever17

 

SuperLite2000恋愛アドベンチャー Ever17 ~the out of infinity~ Premium Edition

SuperLite2000恋愛アドベンチャー Ever17 ~the out of infinity~ Premium Edition

 

 

謎が氷解した時に得られるカタルシス半端ないランキング第一位。美少女ゲームだけでなく、全ての媒体で。同時に記憶を抹消して再プレイしたい作品第一位でもある。
 
世界観をものすごーく雑に説明すると、(当時からすると)近未来で、事故により水没した海底テーマパークでサバイバルしつつ脱出を試みる話。「少年視点」と「武視点」の2パートあり、最初の方の選択肢で分岐する。各視点では一部登場人物が異なっていたり、微妙に展開が異なったりして、「一体全体どういうことなんだってばよ」という感じで進む。で、各視点クリア後のグランドルートで、全ての謎が明らかになる、という寸法。
ミステリ小説で見られる叙述トリックの手法の美少女ゲーム版。美少女ゲームという、主人公の姿が見えず、立ち絵+テキストウインドウをベースにしたフォーマットを利用したトリック。度肝を抜かれました。
 
このトリックだけでも十二分に傑作なのだけれど、もう一つ感動的なのが、プレイヤーが主人公の分身としてではなく、れっきとした1キャラクターとして物語に絡む点である。プレイヤーが「視点」という神的立ち位置で、選択肢を選びながら彼らを観測すること、それこそが登場人物全員をハッピーエンドに導く鍵となっているのだ。このメタ感は、この作品の魅力の一つである。
ちなみに、舞台となっている時代は2017年。来年である。製薬会社の秘密実験の隠れ蓑的海底テーマパークができる気配が一向にないのが残念である。
 
最強にして最恐のアンチ・美少女ゲーム
美少女ゲームのお約束であるマルチエンドを徹底的に否定する。
普通の美少女ゲームの場合。ヒロインが2人いたとしたら、A子ちゃんを攻略するために共通ルートで特定の選択肢を選び、A子ちゃんが完了したら、共通ルートを繰り返し、選択肢を変え、B美ちゃんにたどり着く。B美ちゃんルートでは、主人公を含めた登場人物たちは、当然のことながらA子ちゃんルートの記憶がない。というか、なかったことにされてしまう。A子ちゃんと誓った永遠の愛も、A子ちゃんのトラウマを克服した経験も。けど、プレイヤーである僕たちはA子ちゃんルートを覚えている。覚えていながらなかったことにする。B美に走る。
 
それはあかんではないか。不義理なのではないか。そんな幾度もやり直しが効くものをシミュレーションと言って良いのか。というのがこのゲームの着想。上述の例でいえば、B美ちゃんルートの時にA子ちゃんはA子ちゃんルートの記憶を持っている。「さっき誓った永遠の愛は嘘だったのか」となじる。主人公ではなく、主人公に選択肢を選ばせた僕たちはプレイヤーに。
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有名な画像ですね。「人生は一回ポッキリの一本道なんだぞセーブ機能のないクソゲーだぞオラァ」という叱咤。
ラストシーンでは、2人のヒロインのうち1人を選び、一度選ぶともう二度と選んでいないヒロインとの結末を見ることができなくなる(セーブデータを消すという無粋をしない限り)。この一回性の強調といい、主人公とプレイヤーの情報格差の糾弾といい、「美少女ゲームを攻略するということ」への思考実験の種として、秀逸な作品だった。
 
以上、3選。何だかクソ有名な作品ばかりになった。今回選んだのは好きな作品上から3つ、というわけではないので、いずれ他の作品も振り返りたいと思いつつ。
というか予定外の予定というか労働が入って、この記事はいつも以上に雑になってしまった…。美少女ゲームは、全般についても個々の作品についても、時間ができたら記事にしたい。