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あの青い作業着を脱ぎ捨てて。

アニメ・漫画・小説・ゲーム等のフィクション作品の感想をゆるく綴ります。

売野機子の少女ポエムに救われて

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

同窓生代行―売野機子作品集2

同窓生代行―売野機子作品集2

世の中に存在する漫画の中で最も好きな装丁であると言っても過言ではない、売野機子作品集シリーズ。トレーシングペーパーの手触り、透けて見える写真、キュートさと儚さが同居した女の子たち。

このジト目の表紙もやばい。

今(更)、私の中で売野機子が来ている。社会人生活に慣れてしまいつつも辟易している自分の気持ちにあっているのだろうか。

売野機子が語られる時、大島弓子が引き合いに出されることは多い。「少女性」とでも言えば良いのか、考えないまま無条件に流されて「大人」になることを拒むような、慣性の法則に従ったような成長はしない(できない)人々を描く点は共通している。若干ポエミーな言葉で社会とか大人とか自分の気持ちとかへの違和感の表明は、成る程大島弓子に近い。短編に強いところとかも。

とにかく台詞のセンスが抜群に好み。

おれは大人になったらわかるよって言わないように気をつけた

でも何度も言いそうになって本当に本当におれは大人になっちまってさびしくて悲しい
『かんぺきな街』

走ってゆけ 走ってゆけるり
フリルを翻しながら
大人という生き物が本当に居ると信じてるうちに
『汚い大人になる前に』

真美 お元気ですか
私は少し疲れてずっと家に居ます
たくさんの物語を読んで いくつかの詩を書きました
私は病気みたいです
それでもずいぶん元気になって
今ではうんざりすべき6月の空にも
よろこびを見つけてしまえる始末なのです
『しあわせになりたい』

世と未来を憂う少女チックなポエミーな台詞を書かせたら右に出るものは居ないのでは?という位、言葉巧みである。

いやー、ホント大人になるって面倒臭い、と言えるほど大人ではないが、マジで未来が煤けて見えて悲しい。というここ2週間くらいの気持ちを掬ってくれるような、売野機子の少女性ポエムに浸って生きていくよ私は。

因みに最も好きな話は『しあわせになりたい』収録の『不安定だったころのキミが好き』である。進学校に通う男子中学生とバツイチ広尾在住30代半ばの関係を描いている話。これはもう雰囲気が好み過ぎて。