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あの青い作業着を脱ぎ捨てて。

アニメ・漫画・小説・ゲーム等のフィクション作品の感想をゆるく綴ります。

【感想】『G戦場ヘヴンズドア』日本橋ヨヲコ

漫画 感想

 

 『少女ファイト』連載中の日本橋ヨヲコさんの出世作。10年くらい前の作品だが、最近完全版が出ており、久々に読み直してみたが、やっぱり面白い。

ストーリーを一言で纏めてしまえば、 2人の男子高校生が漫画家を目指して云々する、というところに落ち着くだろう。まぁここだけ見てしまうと『バクマン。』であるが、あの作品とは随分趣きが違う。『バクマン。』は、少年漫画(ジャンプ)で連載するということのドキュメンタリー+少年漫画らしい王道の展開を漫画界に落とし込んで描いていたが、本作はそれぞれの登場人物にとって「なぜ漫画を描くのか」「漫画を描いて生きていくのはどういうことか」という、何というかクサイのを承知で言えば漫画を生み出さなければならないという「漫画家の魂のあり方」を深く抉っている。優劣をつけられるものではないが、より切迫感とそれを乗り切るカタルシスと情熱を感じるのは、本作である。

 主人公sの長谷川鉄男・堺田町蔵は勿論、他の登場人物たちはもれなく、漫画に魅せられ、殺されそうになっている人々である。時には家族を犠牲にしてまで、漫画に生きている。それぞれの立場、特に主人公s+その父親(編集者と漫画家)の四者四様がぶつかり合い、漫画を通して相互理解をしていく様、それぞれが支え合って再生に向かう終盤、そして大団円。Gペンを以って「漫画」という過酷な戦場を生き抜き、最後に天国の扉を叩く。3巻ながら非常に濃密な内容になっている。

 登場人物のともすれば過剰な思考や描写、また日本橋さんお得意の黒白反転しつつキレキレの名言を提示してくる表現も健在である。

 絵の癖は強く、表現も台詞も人物描写も過剰なので、合わない人にはとことん合わないが合う人には滅茶苦茶合う、そんなエッジの効いた作品である。