【感想】『第七女子会彷徨』つばな
第七女子会彷徨は、SF(すこし不思議)の王道を行く漫画だと思う。
基本的には1話完結で、不思議な道具や生物が出てきて、主人公女子2人がそれに振り回される、というのが基本線。しっかり落ちがつくのもあれば、投げっぱなしの不気味エンドで終わることもあるが、次の回では平然と暮らしている。ドラえもんとそれ町を足して2で割った感じ。
SF設定の一環(?)として、「友達選定」というシステムが存在して いる。これが、この漫画の基本線パート2である。高校入学と同時に、簡単なアンケートをもとに半自動的かつ強制的に「友達」としてペアリングされる。こういう方式なので、「形だけ」として特に交流しないペアも多く存在するが、主人公ペア(高木さんと金やん)は友情を築いている。そういうSFめいたきっかけの友情でも、日常を通してそれを育んでいる。その中には、綺麗事だけでなく、不安、嫉妬、逃避など、負の感情が顔をみせることもある。
全編を通して、この非リアリティとリアリティのバランスというかゴチャ混ぜ具合というか、その辺を超越したセンスオブワンダーが素敵な作品。
最終巻となる10巻では、この二つが見事に融合している。悲しいすれ違いから一度は壊れてしまった2人の友情。SF要素を絡めながら、そういう力に頼ることなく、周りに助けられつつ、自分たちで大切なことに気づき、10年越しの再会を果たす最終回。第七女子会彷徨の世界観を凝縮した、素晴らしい最終巻だった。