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あの青い作業着を脱ぎ捨てて。

アニメ・漫画・小説・ゲーム等のフィクション作品の感想をゆるく綴ります。

【感想】『ドルメンX』 高木ユーナ

感想 漫画

ドルメンX 1 (ビッグコミックス)

ドルメンX 1 (ビッグコミックス)

高木ユーナの作品を読むと、斜に構えて生きている自分がバカらしく、また恥ずかしく思えてくる。どの作品の登場人物も、ともすれば痛々しいまでに真っすぐで、他の作家が口に出さないような純粋な気持ち—願望、愛、嫉妬、恐怖—をおくびもなく描いている。

今までの作品は、人への愛とか願望とか、それに伴う恐怖が前面に出ていたが、本作『ドルメンX』は、ある目標のために全力を出し、それゆえに恐怖し、嫉妬し、それでも高みを目指すアイドル志望者たちの奮闘物語である。

「豊かな富を持つ地球を汚すことなく、戦争はしないで地球人に気づかれないように侵略」を目論む宇宙人5人(♂4人♀1人)が、その手段として地球一のアイドルを目指す、という話。
ただし、途中から宇宙人設定はあまり関わってこない。いつもの高木作品の如く、真っすぐ生きていない自分の背筋を正されるような、一生懸命青春ライフが繰り広げられる。

例えば、ドルメンX(主人公たち4人組のユニット)の初路上ライブに向けた曲作りを行っているサイが、中々曲が完成せず、そのことについて告白するシーン。
サイ「いつもイラストを描いてくれるフォロワーも、漫画家志望らしいけど漫画を一本書き上げたことはなくて…オレは…そういう人たちの空間でしか生きていけない…生ぬるい血が流れてる…」ヨイ「開き直んな、気持ち悪い。(『ドルメンX』 2巻 第7話)
主人公たち♂4人は、自分だけオーディションに落ちれば外面はとり繕いつつ内面では嫉妬したり、自分の好きなものに対する評価を恐れて予防線を張ったりする。しかし、主人公たちの紅一点・ヨイ(重度のドルオタ)が、その姿勢を断罪する。そしてその嫉妬や恐怖を乗り越える。その姿は、見ていてとても清々しい。
ヨイ「オメーは早く曲作れ!」「オメーはハラ決めてオーディション行け!」「ダッセー姿いっぱいさらして、地球一かっこよくなってよ。」(『ドルメンX』2巻 第7話)
斜に構えがちな我々の時代、こんな真っすぐなセリフを、見開きで、泣き顔のアップで、堂々と描ける作家は少ないだろう。高木先生、カッコいい…。

ドルメンX 2 (ビッグコミックス)

ドルメンX 2 (ビッグコミックス)