【感想】『ドルメンX』 高木ユーナ
- 作者: 高木ユーナ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/03/11
- メディア: コミック
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今までの作品は、人への愛とか願望とか、それに伴う恐怖が前面に出ていたが、本作『ドルメンX』は、ある目標のために全力を出し、それゆえに恐怖し、嫉妬し、それでも高みを目指すアイドル志望者たちの奮闘物語である。
「豊かな富を持つ地球を汚すことなく、戦争はしないで地球人に気づかれないように侵略」を目論む宇宙人5人(♂4人♀1人)が、その手段として地球一のアイドルを目指す、という話。
ただし、途中から宇宙人設定はあまり関わってこない。いつもの高木作品の如く、真っすぐ生きていない自分の背筋を正されるような、一生懸命青春ライフが繰り広げられる。
例えば、ドルメンX(主人公たち4人組のユニット)の初路上ライブに向けた曲作りを行っているサイが、中々曲が完成せず、そのことについて告白するシーン。
サイ「いつもイラストを描いてくれるフォロワーも、漫画家志望らしいけど漫画を一本書き上げたことはなくて…オレは…そういう人たちの空間でしか生きていけない…生ぬるい血が流れてる…」ヨイ「開き直んな、気持ち悪い。(『ドルメンX』 2巻 第7話)主人公たち♂4人は、自分だけオーディションに落ちれば外面はとり繕いつつ内面では嫉妬したり、自分の好きなものに対する評価を恐れて予防線を張ったりする。しかし、主人公たちの紅一点・ヨイ(重度のドルオタ)が、その姿勢を断罪する。そしてその嫉妬や恐怖を乗り越える。その姿は、見ていてとても清々しい。
ヨイ「オメーは早く曲作れ!」「オメーはハラ決めてオーディション行け!」「ダッセー姿いっぱいさらして、地球一かっこよくなってよ。」(『ドルメンX』2巻 第7話)
斜に構えがちな我々の時代、こんな真っすぐなセリフを、見開きで、泣き顔のアップで、堂々と描ける作家は少ないだろう。高木先生、カッコいい…。
- 作者: 高木ユーナ
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- 発売日: 2016/03/11
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