あの青い作業着を脱ぎ捨てて。

アニメ・漫画・小説・ゲーム等のフィクション作品の感想をゆるく綴ります。

【感想】冬アニメ雑感 & 少女たちは荒野を目指す 3話

冬アニメ雑感

2016年冬アニメも、おおよそ3話までの放映が終了した。

出来る事なら多くのアニメを視聴したいが、時間的制約もあり、毎クール気づくと3、4本に収まっていく。

見逃してしまったもので、やたら評判が良い物は、北米版Blu-rayを待つ。北米版は財布にも優しく、画質も普通に良いものが多いので、庶民の味方である。

 

 

 

 

で、今回視聴すると決め打ったのは、以下の作品群。

1.『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』

堅めに行こうと思えば行ける設定だと思うのだが、それと絶妙にかみ合わない戦闘作戦の雑さというか、軽さが良い。特に3話。「税金の無駄遣い」「犯人確保の度に建物を破壊するな」等々の批判をマスコミや警察他部署から浴びせられいるが、それにあまり取り合うことなく「また始末書か~」程度で済ませる気概が心地よい。

2.『紅殻のパンドラ』

攻殻機動隊と同一の世界観でコメディ色が強いエロ百合電脳魔法少女モノをやっている。可愛い。 

3.『少女たちは荒野を目指す』

田中ロミオ。視聴理由は以上。

高校生たちが美少女ゲーム作ります!という、どこかで見たことあるような設定。

3月に発売されるゲーム版の先行アニメ化。ゲーム版は、第一部「高校生編」と第二部「社会人編」に分かれているらしく、アニメはそのうちの第一部のみらしい。

それぞれの創作論と、意見対立の解決方法

で、少女たちは荒野を目指すの3話である。

3話は、①各メンバーの創作論②意見の対立と解決の二点がポイントのように思う。

各メンバーの創作論

主人公が、メンバーに各々の創作論を聞いて回った。結果は以下の通り。

・黒田砂雪(プロデューサー)…創作はコスト

・小早川夕夏(声優)…恋

・安東テルハ(PG)…BL

・結城うぐいす(原画)…絵を描きたくなるものが面白いもの

・甲斐 亜登夢(AD)…現実逃避

火種になりそうな匂いがぷんぷんする。特に黒田&小早川。まぁ、この辺りは後々回収されてくると思う。主人公の創作論も表明してないし。

田中ロミオは、それこそ『家族計画』の時代から、ある一つのコミュニティに所属するメンバーの、そのコミュニティに対する思い入れの違いっていうのを軸に話を動かしていくことが多い。『家族計画』の疑似家族とか、『CROSS†CHANNEL』の放送部とか。この創作論は、割とこのコミュニティへの思い入れに直結する部分だと思うので、生温かく見守っていきたい。

 

CROSSCHANNEL ~For all people~ (通常版)

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意見の対立と解決

 3話のメインはここだろう。

「市場で勝つために真剣にやっていくのを優先する」という黒田さんと、「楽しさを第一に考えてやりたい」という安東さんの対立。黒田さんの真剣な話の最中に眠っていることや、言い争っている場面で安東さんの後ろで残り4人が立ち上がる描写を見るに、残り4人もどちらかと言えば安東派なのだろう。そりゃそうだろう。

で、意見対立の解決方法として、「黒田さんの企画に自分が好きな要素(=BL)を見出したから楽しめる」という安東さんの気づきを用いている。一方の黒田さんも、「無意識のうちにゲーム創作の楽しさを考えていた(e.g.ライターである主人公に原画を見つけさせた意図)」ということに気づき、意見の対立はめでたく解決された、という流れだ。

本当に解決したのだろうか。

現状、黒田さんは「真剣なの制作活動の中にも少しの楽しさはあるよね」というスタンスだ。黒田さんの目標を考えれば、ゲーム作成の実作業で、真剣さを優先させることは間違いない。彼女の目標はゲーム完成ではなく、ゲーム業界という荒野に食い込むことなのだから。甘い考えは捨てなくてはならない。その中に少しは楽しさを感じる可能性はあるよね、と気づいただけなのであって、安東さんのスタンスを認めているわけでは決してない。「創作はコスト」と言い切っている彼女は、この先展開されるであろう地味な実作業の段階において、メンバーに厳しい注文を課していくだろう。

安東さんはどうか。「このゲーム制作活動において、シナリオの企画は楽しそう、だから参加する」というスタンスだ。これ自体、微妙に違和感はあるが、それ以上に、黒田さんのスタンスを微塵も受け入れているわけではないというのが問題だ。

要するに、「とりあえずゲーム制作の実作業に向けて意見の対立を一旦封じ込めた」というだけで、根本的な和解には至っていない。双方の意見・考え方に対する歩み寄りは殆どなされていない。

田中ロミオなら、この辺りを放っておくことなく、しっかりと解決する、少なくとも解決を試みるという動きがあるはずだ(信者並の感想)。で、当然解決の鍵は主人公の動きだろう。それがアニメ放映で収まるのか、ゲーム版まで持ち越すのかはわからないが、楽しみである。